法的安定性と国家の安定性

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この記事、かなり悪意のある見方をしていると思う。
これに対し、

スー・チー氏「私が全て決定」 新大統領に「権限なし」 - 47NEWS(よんななニュース)

現時点でスー・チー氏を無理矢理大統領にすることは法的安定性を失わせることに繋がるが、スー・チー氏が中心となる仕組みが作れなければ彼女に導かれて来た人々の収まりがつかない。その妥協点ということか。

2015/11/11 18:00

ブコメしたのだが、法的安定性を維持しつつ、国家の安定性を取り戻すための手段として、こうした方針を発表したのだと思う。


これは民主的なやり方としては問題がある。
だが、元々が氏の大統領就任を妨害するために作られた条項自体が問題があるものだ。
今なら、この法を無視して大統領に就任させるという力技も可能かもしれない。それこそミャンマーを内乱に叩きこむことを恐れなければ。

今、スー・チー氏が無理矢理大統領になることは、スー・チー氏が違法行為をすることであり、それを黙認することでもある。
これは、我が国で行われた違法性のある法案を政府解釈で合法と言い張り可決してしまったことと同じ方向性の行為だ。
軍政側に「大統領の違法性」というカードを与えることになる。

だが、だからと言って、氏に導かれてきた人々にしてみれば、ここに来て氏の考えが国政に直接反映されない状態が続くことは、これまで溜まったフラストレーションが益々増大することに繋がる。
何らかの形で「氏の意思が今後は国政に反映される」ということを保証しなければ、この方向性でも暴動や内紛に発展する可能性があるだろう。

その二つの方向性の落とし所。


形式上は大統領のアドバイザー的な位置となるのだろうか。
その指導の元で大統領就任の禁則事項の撤廃を行い、改めて大統領として就任することを目指す。
(日本の安保法制の話で言えば、憲法を改正してから改めて安保法制を審議する様な話)

民主化というのは本当に難しいことだと思う。
今回の選挙での勝利は「ミャンマーが民主主義国家になった」ということではない。あくまで現状のミャンマーの国会における過半数を得たに過ぎない。

この記事の

自身への権力集中にこだわる姿勢は、「権威主義」や「違憲」との批判を招く恐れもある。

という批判は、ミャンマーがすでに民主的な国家である場合には、全くその通りだと思う。
だが、現状はそうではないだろう。
むしろ、今回盛り上がったNLDとスー・チー氏の顔が立つ形で落ち着かなければ、より酷い混乱状態に陥る可能性が高いと思う。

それに、自ら法を破って大統領になることに拘るほうがよっぽど「権威主義」だし「違憲」だと思うのだがどうか。